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003 足びきの   --- 柿本人麿

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    足びきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む
    - 拾遺和歌集 恋の部 -

    部立:恋

    2字きまり

    びきのやまどりのおのしだりおの なががしよをひとりかもねん


    「足びきの」山の枕詞。足引きの山の・・・。
    「しだり尾」長くたれさがった尾。
    足びきの山鳥の尾のしだり尾の・・・という上の句全部が下のながながし夜・・・という語の序詞。
    「長々し夜」長い長い夜。
    「ひろりかも寝む」かもは軽い疑いとやるせない嘆きの気持ちを含む助詞、ひとり寝るのかなの意。


    我が思う人は、待っても来ない。この長い長い秋の夜を、待ち焦がれてひとりで寝なければならないのか---恋するものの嘆きを歌ったもので、恋人の姿を追って、秋の夜長を待ちわびる懐かしく悲しい歌。


    作者 柿本人麿は、持統天皇、文武天皇両朝につかえた宮廷詩人といわれ、三十六歌仙の一人で、歌聖と仰がれている。万葉集を代表する歌人。
    行幸のお伴や、公私の用務で、各地を訪ねて、自然や風物を歌にした。
    奈良朝時代の和同十四年石見国で死んだという。臨終の時、大和の都にある妻を思い、自ら傷んだ歌に「かもやまの岩根しまける我をかも知らずて妹が待ちつつあらん」---
    人麿の死を聞いた時、その妻の読んだ歌も、旅にさびしく死んだ夫を思う悲しいもの。
    人麿の歌---
    「ひんがしの野にかぎろいのたつ見えてかえりみすれば月かたぶきぬ」
    「大地もとらば尽きめど世の中に尽き得ぬものは恋にぞありける」
    「久方の天照る月もかぐろいぬ何になぞえて妹を偲ばん」
     

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